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被団協代表委員 田中熙巳さんのノーベル賞受賞に際してのスピーチを考える!(2024年12月17日)

この12月10日、ノーベル平和賞を受賞した、日本原水爆被害者団体協議会(略称 日本被団協)の代表委員の田中さんが、ノルウェー オスロの市庁舎において、ノーベル平和賞の受賞に際してのスピーチをしました。

田中さんは、92才という高齢でありながら、自らの被爆体験に基づく、堂々とした立派なスピーチを、20分以上にわたって行いました。

田中さんは、「人類が核兵器で自滅しないように!」、「核兵器も戦争もない社会を作ろう。」と、世界の人々に力強い言葉で呼びかけました。

田中さんは、多くの身内を、長崎におけるアメリカ軍の原爆投下によって失ってしまった様子を、被害者ならではのリアルな言葉で訴えました。

田中さんは、今、世界に1万2000発という核兵器が存在し、4000発がすぐにでも発射可能な状態にある現実を語りました。

そして、田中さんは、今、ロシアがウクライナに対し、核の威嚇をし、さらに、イスラエルがパレスチナ自治区のガザに対し、執拗な攻撃を続ける中で、ある大臣が、核兵器の使用もありうるとの言葉を口にするなど、核兵器の使用が現実のものとなっていることの恐怖を淡々と語りました。

その上で、田中さんは、核兵器保有国や、アメリカの核の傘のもとにある日本政府に対し、核兵器を安全保障の道具とするのではなく、一発たりとも核兵器を持ってはならないということが、被爆者である自分の、心からの訴えであると述べています。

そして、もし核兵器がこの地上からなくならないならば、私たちが被害者になるか、加害者になるかのどちらかであると述べています。

これは、核抑止論に対する批判であり、田中さんは、核兵器をなくすために私たちはどうしたらよいのか、世界の人々と共に話し合い、核兵器の廃絶を求めたいと結論付けました。

また、田中さんは、スピーチの最後に、「世界中の皆さん、核兵器禁止条約のさらなる普遍化と核兵器廃絶の国際条約の策定を目指し、核兵器の非人道性を感性で受け止めることのできるような原爆体験の証言の場を各国で開いて下さい。とりわけ、核兵器保有国と、それらの同盟国の市民の中に、しっかりと核兵器は人類と共存できない、共存させてはならないという信念が根付き、自国の政府の核政策を変えさせる力になるよう、願っています。」と述べ、結んでいます。

田中さんは、このスピーチの中で、アジア、太平洋戦争の開戦責任がある日本政府が、今までに、被爆者に対する国家賠償責任を果たしていないことも、抑制をしつつ述べています。

これを日本政府に対する単なる批判であると捉えず、日本の、今を生きるすべての国民に投げかけたものとして、私たちは重く受け止める必要があるのではないでしょうか。

被団協のノーベル賞受賞が大きな契機となって、今、日本では、核兵器廃絶の世論が盛り上がっています。

これを一過性のものにするのではなく、さしあたり、日本政府が核兵器禁止条約をすぐに批准し、署名国になるよう、国民一人一人が求めていきたいものです。

核兵器禁止条約批准のための署名活動を静岡県内で積極的に推進した法律事務所として、国会議員の皆様方に核兵器禁止条約をわが国も批准するよう、呼びかけたいと思います。

また、いまだ、原爆の被害に苦しんでいる被爆者や被爆二世の方々が、安らかに生活できるよう、被爆者援護法の制定を強く求めていきたいと思います。

核兵器はもとより、軍隊を有しない国は世界にもあります。

すべての国際紛争が、軍事力による戦争ではなく、外交による話し合いによって解決することは、理想ではなく、人間が追い求める課題です。

非核の政府を求める静岡の会の代表世話人であり、反核法律家協会の会員でもある、当事務所の所長である大橋昭夫は、静岡県内の皆様方に、核兵器を廃絶することを強く訴えるものです。

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