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「戦争ではなく平和の準備を」(地平社刊)を読んで考える(2024年12月22日)

 先日の静岡新聞に、知人の被爆2世であり、現代の被爆の実相の語り部である、磯部典子さんの記事が出ていました。

 磯部さんのお父さんの亡杉山秀夫先生は、陸軍見習士官として、広島市に滞在していた時、爆心地から約1、2キロメートルの地点で被爆した「ヒバクシャ」でした。

 杉山先生は、病苦に耐え、かろうじて生き抜くことができましたが、放射性物質の多大な影響があり、死亡するまで症状に苦しめられていました。

 杉山先生は、戦後、教壇に立ち、教師としても長く静岡県内の高校でご活躍し、静岡県立浜松西高では、テニス部の顧問としても活躍しました。

 そして、平和運動にも没頭し、毎年、焼津市で開催される「3・1ビキニデー」においても、献身的な役割を果たしており、そのご活躍と献身的な活動は、身近にいて、私(大橋昭夫)もよく知っています。

 杉山先生は、病気に苦しめられていたにもかかわらず、そのようなことには何らの弱音も吐かず、原水爆禁止運動の先頭に立っていました。

 私は、常日頃から、その人柄や平和活動を尊敬していました。

 杉山先生は87才という年齢で、かなり前に亡くなられ、今はこの世にはいません。

 杉山先生亡き後は、磐田市在住の娘さんの磯部典子さんご夫妻が、杉山先生の遺志を承継し、被爆者運動や、平和活動に参加し、献身的な活動をしています。

 このたび、日本原水爆協議会(「被団協」)が、ノーベル平和賞を受賞するにあたり、磯部典子さんは多くの仲間達と一緒にオスロ市に出掛け、現地の人々と交流し、核兵器廃絶の祈りを込めた折り鶴を届けたとの記事が静岡新聞の紙面に書かれていました。

 「静岡原水爆被害者の会」の会長として、「ノーモア・ヒバクシャ」、「ノーモアウォー」と、多年にわたり訴え続けた杉山先生の活動を娘さんが承継したものとして、杉山先生や磯部典子さんのご活躍を知る者として、この記事は自分の事のように嬉しく思いました。

 そうした時、平和構想提言会議のメンバー(青井未帆 学習院大学教授、川崎哲 ピースボート共同代表ら)が共同執筆した、「戦争ではなく平和の準備を」(地平社、2024年7月31日刊)を、丸善の本棚で見付け、早速読んでみて、そのメンバーの考え方に意を強くしました。

 杉山先生のような被爆者や、磯部典子さんのような被爆2世は、心から核兵器廃絶の決意を国の内外に発信し、文字どおり、今こそ「戦争の準備」ではなく、「平和の準備」をすることが、人類にとって必要であることを訴え、今回のノーベル平和賞受賞に至ったものです。

 当事務所は、平和構想提言会議の方々の、学者や平和活動家の提言に、全面的に賛同します。

 軍事力による見せかけの平和ではなく、話し合いによる本当の平和の実現を心から望みます。

 

大橋昭夫 執筆

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